陳列パワー
阿佐ヶ谷ロフトにて開催された「麻生太郎新首相選出記念 総理に読んで欲しいマンガ議会」に行ってきた。同店店長奥野テツオ氏、人喰い映像作家酒徳ごうわく氏、半パネリスト半客として鶴岡法斎氏を壇上に迎え、彼らと客とが持参した「総理に読ませたい」マンガをプレゼンしていき、最終的に選定した数冊を首相官邸に送りつけるという内容。
スタート時の客足は20名弱ぐらいで、30代40代を中心に、みな男性。途中入場で女性客が混ざるとすぐに壇上の話題に反映されるような、和気藹々/ホモソーシャルくさい、内輪ノリのムードであった。現場感、が強くあった。
かなり突発的に催された穴埋めイベントとのことで、どうやら客のほとんどが顔見知りらしいのも一因のようだが、みなとても場慣れしていてプレゼンも聞かせるものが多かった。以下、候補に挙がった麻生総理に読んで欲しいマンガリスト。★印は映像作品。
・「ゴルゴ13 ストップモーション劇画」★
・花くまゆうさく「東京ゾンビ」 作中の人力発電を実用化して
・鈴川鉄久「チャージマン研!」
・後藤友香「正義隊」
・「劇画『内閣総理大臣伝』〜日本を動かした男たち」
・岡村賢二「蹴速の闘魔神」 国技の権威を取り戻して
・梶原一騎、辻なおき、高森敦子「ジャイアント台風〜ジャイアント馬場物語」
・志村裕次、みやぞえ郁雄「真・麻雀伝説 風の雀吾」 精神力の鍛錬のため
・伊勢田勝行の自主制作マンガ(タイトルまで確認できず)
・町野変丸「ヌルえもん」 マンガ文化の豊かさの例として
・うえやまとち「クッキングパパ」 総理のお膝元福岡県つながりで
・植田まさし「まさし君」 フリーター、ニートの予見的作品として
・福本伸行「最強伝説黒沢」
・「萌道鮮師」 韓国のラブコメ?マンガ。隣国の知られざる一面として
・増田剛「えっちの神さま!」
・荒木飛呂彦「死刑執行中脱獄進行中」
・佐川一政「まんが サガワさん」 再チャレンジ的な意味で
・長谷川哲也「ナポレオン〜獅子の時代」
・ジョン・フォード「モガンボ」★
・安彦良和「我が名はネロ」
・業田良家「ゴーダ哲学堂 空気人形」
・東村アキコ「きせかえユカちゃん」 児ポ法改正反対
・田畑由秋、余湖裕輝「アクメツ」
・石田敦子「アニメがお仕事!」 アニメーターを助けて
・大和田秀樹「ムダヅモ無き改革」
・雄山スズコ「政治萌え〜国会ゆるゆる観察日記」
・影木栄貴「世紀末プライムミニスター」
・芳崎せいむ「永田町一丁目七番地」
・おりもとみまな「メイドいんジャパン」
・「チャレンジ漫画 日本の産業 米づくり編」
・「天魔の野望〜実録『人間革命』」
ジャンル的には児童・少年マンガなどが不足しており、年代も80年代からこっちに集中しているのが豊かさを減じているが、充分に豊かであると思う。というかこんなに豊かな、陳列するだけで記事になりうるリストには、なかなかお目にかかれるものではない。
リストの力に甘えた記事になったが、なによりの甘えは、肝心の官邸送りに選ばれた作品を失念してしまった粗忽である。トホホである。サガワさんと天魔の野望でなかったことは確かである。