近藤聡乃「うさぎのヨシオ」がおもしろすぎて先行き不安

エンターブレインFellows!に連載中の「うさぎのヨシオ」がおもしろすぎて、逆に先行き不安だ。同作はマンガ家になりたいうさぎのヨシオが、喫茶店でアルバイトをしながらマンガ家を目指す日常を綴った四コママンガである。

四コママンガではあるが、一応「マンガ家を目指す」「常連客の女性への恋心」という筋があって、ストーリーマンガとしても読めるようになっている。四コマ単位で笑いをとりつつ、毎号ごとかなり明確なテーマに則って描かれている感触があり、Fellows!6号(2009年8月号)の回などは白眉だった。はじめての持ち込みで編集者にきついお叱りを受けなにを描けばいいのかわからなくなったヨシオが、ふたたびビジョンを取り戻すまでの過程を、わずか6ページでみごとに表現している。すばらしい。

だから、憂鬱だ。一進一退するヨシオの日常は、しかし着実に目標の達成に向けて前進している。だが目標の達成はすなわち同作の完結を意味するだろうと、ストーリーマンガとしての強烈な予感が、俺をもんもんとさせる。あれやこれやそれや百の作品のように、筋などなく日常だけの四コママンガだったなら終わりの予感などなかったのに。だけど俺が好きになってしまったマンガには筋があったのだ。この不幸。この幸福。