ドラゴンクエスト9/まさゆきに会いに秋葉原に行ってきた

cajolery2009-07-26


ドラクエ9にはすれちがい通信で自動生成ダンジョンをやりとりできる機能があって、ネットでは難度の高いレアなダンジョンの発掘などが盛んである。街におでかけすればたいがいは序盤で入手できるようなダンジョンが出回っていて、そも通信にダンジョンを添付してなかったりだとか、そもそもメッセージさえ設定していないだとかも多々である。熱心なインターネットさんたちには面白くない現実であるが、ウェブで大勢をとりつつある意識(ダンジョンのレベルは高いほうがよい、隠しボスのほうがよりよい、メッセージにはこだわるべきだ)の徹底を、現実に求めるべきではない。おなじゲームを遊んでいても別々のルールで遊んでいるのはあたりまえのことだ。

さて熱心なインターネットさんたちのあいだで話題沸騰なのが「まさゆき」と呼ばれる、「メタルキングしかポップしないフロアのある」ダンジョンである。ちなみに通称は発見者の名からとられている。それがいかに魅力的なダンジョンであるかは、シリーズを一本でも遊んだことのある人には即座に理解されよう。数日前に2chで発見報告があり、秋葉原ヨドバシで配布の告知がなされると、たちまちまさゆきは都内に広まりさらには地方へも拡大しつつあるという。アキバヨド周辺ではまさゆきを配布している有志が多いと聞いたので、本日、休日を利用して行ってみた。

昼過ぎからアキバヨド一階のカフェ「ヴィ・ド・フランス」で一時間半ほど張ってみたが、なかなか楽しい時間をすごせた。秋葉原のストリートは旅芸人やバトルマシーンやかれいなる女剣士や伝説の紳士でいっぱいのようだった。カフェのガラス越しに歩いている、俺の人生にとっては端役にすぎない通行人たちの意味がまるっきり変わってしまうのは、とても愉快な体験だ。ただし俺のほかにも定置網を張っている人間が周囲に10人はいて、彼らのアバターが繰り返し俺のドラゴンクエストに闖入してくるのは反省点だった。もっと人知れず、それでいてドラクエプレイヤーたちが大挙するポイントで網を張ったほうが、俺にも彼らにも有意義であったろう。

まさゆきは一時間ほどして入手に成功した。まさゆきのミームは全国に広がりつつある。名古屋では改造まさゆきが出回り、来るべき夏コミでは全国から集ったプレイヤーたちが地元にまさゆきを連れ帰るであろうと、熱心なインターネットさんたちは予測している。愉快痛快。これは300万本を売り上げるタイトルだけが提供できる体験だ。日本地図を広げて、300万人のおにごっこをそこにイメージしてみればよい。俺は今日、意図してまさゆきに感染しに人里へと分け入ったわけだが、時間も場所も選ばずまさゆきがあなたの背中に手を触れる日はそう遠くはない。今日メッセージもダンジョンもなく俺とすれちがったどこぞの淡白なプレイヤーが「激レアダンジョンですよ!!!!」とまさゆきを発信する日はすぐそこまで迫っている。そのころもちろん熱心なインターネットさんたちはもっとレアなダンジョンに血潮をあげ、ケッいまさらまさゆきかよと悪態をつくのであろう。


参考:http://www12.atwiki.jp/baramos/