劇場版天元突破グレンラガン 螺巌篇/同次元

cajolery2009-05-01


劇場版のラストバトルは、主人公シモンとアンチスパイラルとが徒手空拳で殴りあうシーンとなっていた。これはキノンにぶん殴られるロシウ、ひいては前篇においてカミナにぶん殴られるシモンと対応して、拳を交えて躓きを正す対話の体をなしている。闘いの愉悦を思い出しながらヒートアップしてくれる劇場版のアンチスパイラルはいよいよ「次元の違う敵」ではなく、主人公らと同次元であるがゆえ、対話が可能となっている。このスケールダウンは、スケールダウンではあるが、物語としては目に易しい。地下から脱出しロージェノムを倒し月を穿つという一連の階段そのものを、宇宙を滅ぼす力として否定したアンチスパイラルは、主人公らと同次元の存在になることで自身を階段のステップへと貶めて、階段を登りきった先にある戦後の平和(スパイラルネメシスの発生しない世界)に説得力を与えてくれていた。